LAW UPDATE WEEKLY / 第1号

法律アップデートニュース
2026年9月8日(対象期間: 8月中旬〜9月上旬)

対象分野: AI・個人情報・データ / 労働・人事 / 消費者・広告・EC / 知財・著作権・弁護士法

条文・法令番号・施行日は e-Gov 法令検索から読み、府省の公表物で裏を取っている。 業界紙・専門媒体は発見にだけ使い、最終出典にはしていない。各項目に出典の情報公開日を付けた。

01個人情報保護委員会、KDDIとISPに個人情報保護法に基づく行政上の対応

AI・個人情報・データ✓ 公表済み

個人情報保護委員会が、KDDI株式会社およびインターネットサービスプロバイダに対する 個人情報保護法に基づく行政上の対応を公表した。あわせてメールサービス利用者への注意喚起も出ている。

公表日
令和8年8月19日(2026-08-19)
正式名称
「KDDI株式会社及びインターネットサービスプロバイダに対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応並びにメールサービス利用者に対する注意喚起について」の公表
根拠法
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)
未確認: 対応の種別(勧告・指導・報告徴収のいずれか)は、 新着情報一覧の見出しからは判別できなかった。実務で引用するときは報道発表本文を開いて種別を確認すること。 この号では「行政上の対応」以上には踏み込まない。

Tier 1 個人情報保護委員会 新着情報(令和8年8月19日) https://www.ppc.go.jp/information/

02令和8年改正個人情報保護法、政令・規則の「全体像(案)」が委員会に提示された

AI・個人情報・データ△ 下位法令の設計中

いわゆる「3年ごと見直し」による令和8年改正個人情報保護法について、 政令・規則等で定める事項の全体像(案)が第366回個人情報保護委員会に資料として出された。 法律本体の議論から、下位法令をどう書くかの段階へ移っている。

資料の日付
令和8年8月26日(2026-08-26)/第366回個人情報保護委員会
資料名
個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律 政令・規則等で定める事項の全体像(案)について 資料1
ここまでの経緯
令和5年11月15日 検討開始(第261回)→ 令和6年6月26日 中間整理(案)→ 令和6年12月25日 検討会報告書 → 令和8年1月9日 制度改正方針(案)(第347回)→ 令和8年1月26日 法案関係資料公開
直近の委員会
令和8年9月2日 第367回/第3回 個人情報保護政策に関する懇談会/令和8年度第1四半期の監視・監督の状況を公表
読み方: e-Gov 上の個人情報保護法の現行版は 2026-07-17 施行で、 直近改正は「防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和八年法律第六十二号)による 技術的なもの。3年ごと見直しの実体はまだ現行条文に現れていない。 施行日が決まるのはこの政令・規則が固まってからなので、社内規程の改訂に着手するのは早い。 いま見るべきは「何が政令・規則に落ちるか」の範囲。

Tier 1 個人情報保護委員会「いわゆる3年ごと見直しの経緯(令和8年 改正個人情報保護法関係)」 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/3nengotominaoshi/ / 資料1(令和8年8月26日) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260826_shiryou-1.pdf / 現行条文は e-Gov 法令検索 415AC0000000057

0310月1日にハラスメント規制が動く — カスハラと就活セクハラは同じ改正法だった

労働・人事✓ 施行日確定

2026年10月1日から、カスタマーハラスメントの防止措置と、 求職者等に対するセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)の防止措置が、事業主の義務になる。

施行
2026年(令和8年)10月1日
改正法
令和七年法律第六十三号「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」(公布 令和7年6月11日)
指針
令和8年2月26日 公布(カスハラ防止指針・求職者等セクハラ防止指針)
カスハラの定義
①顧客等の言動であって、②業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの。①〜③を全て満たすもの。電話やSNS等インターネット上のものも含む
今週の確認で分かったこと: 業界メディアは「労働施策総合推進法」と 「男女雇用機会均等法」を別々の改正として並べていたが、e-Gov で確認すると 男女雇用機会均等法(昭和四十七年法律第百十三号)の直近改正も同じ令和七年法律第六十三号だった。 つまり1本の改正法が両方を動かしている。社内対応も1つのプロジェクトとして立てるのが正しい

Tier 1 厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます! カスタマーハラスメント対策の義務化」 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662576.pdf / e-Gov 法令検索 男女雇用機会均等法 347AC0000000113 / 労働施策総合推進法 341AC0000000132

04「能動的サイバー防御法」の正体と、10月1日に施行されるのは何か

AI・個人情報・データ✓ 施行日確定

報道や実務メディアで「能動的サイバー防御法」と呼ばれている法律の正式名称は 「重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律」(令和七年法律第四十二号)である。 法律本体は 2026年4月1日にすでに施行済みで、10月1日に施行されるのは 施行令(令和八年政令第四十七号)のほうだった。

法律本体
令和七年法律第四十二号/現行施行 2026-04-01
施行令
令和八年政令第四十七号/現行施行 2026-10-01
通称の注意
「能動的サイバー防御法」は法令名ではない。社内文書や規程に書くときは正式名称と法令番号を使う
なぜこれを載せたか: 発見は業界メディアの施行日一覧からだったが、 そこには「10月1日 能動的サイバー防御法」としか書かれていなかった。 e-Gov で当たったところ本体は半年前に施行済みで、10月に動くのは政令だと分かった。 「10月から新法が始まる」と理解して社内展開すると、半年遅れていることになる。

Tier 1 e-Gov 法令検索 507AC0000000042(法律)508CO0000000047(施行令)Tier 3(発見のみ) BUSINESS LAWYERS「法改正タイムライン」(2026年9月3日更新)

05労基法「40年ぶり大改正」は、今週も動いていない

労働・人事✕ 法案未提出

先週まとめたとおり、労働基準法の本体改正は国会に法案が提出されておらず、公布も施行もない。 今週も状況は変わっていない。定点観測でも労働基準法の現行版に変化はなかった。

現行版
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)/現行施行 2026-06-24
直近の節目
2025-01-08 研究会報告書(51頁)→ 2025-12-26 大臣「2026年通常国会への提出は考えていない」→ 2026-06-02 成長戦略とりまとめが労政審へ差し戻し → 2026-07-14 第210回労働条件分科会(労基法改正の諮問なし)
次に見る場所
労働政策審議会 労働条件分科会のページ(回次・開催日・配布資料)。第211回の開催が最初のシグナル

Tier 1 厚生労働省 労働政策審議会(労働条件分科会) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126969.html / e-Gov 法令検索 労働基準法 322AC0000000049

今週の公布(e-Gov 法令API)

2026年8月1日〜9月8日に公布された法令は10件。内訳は地方公共団体情報システムの標準化に関する 府省令が5件、令和8年熊本地震に関する政令・省令が5件で、対象4分野に該当するものは0件だった。

この欄の意味: e-Gov の公布データだけでは、この紙面は1行も書けない。 改正は被改正法に溶け込むため改正法そのものを検索できず、施行日での抽出もAPIでは効かない。 だから本紙は「関心のある27法令を毎週スナップショットして差分を取る」方式を土台にしている。

次号までに一次確認する候補

施行予定法令確認すべきこと
2026-12-01公益通報者保護法体制整備の徹底・通報者の範囲拡大。e-Gov の現行版(2026-07-17施行)には未反映のため、消費者庁で施行日と内容を確認する
2027-04-01犯罪収益移転防止法施行規則オンライン本人確認(eKYC)の一本化・厳格化。省令の公布日と経過措置
2028-04-01労働安全衛生法50人未満の事業場へのストレスチェック義務化。改正法の法令番号
2026-12-25こども性暴力防止法学習塾等の任意認定制度。対象事業の範囲

いずれも Tier 3 の施行日一覧で発見したもの。 Tier 1 で確定していないため、本号では見出しにしていない。

参考資料・出典一覧

出典レジストリは C:\dev\lawnews\data\trusted_law_sources.json(Tier 1 = 17ホスト、 Tier 2 = 9媒体、Tier 3 = 1媒体。全件 2026-09-08 に HTTP 200 と title を実測)。

本紙は一般的な情報提供であり、法的助言ではない。 2026年9月8日時点のスナップショットである。条文・法令番号・施行日は e-Gov 法令検索から読み、 記憶では書いていない。ただし施行日や義務の有無は下位法令・経過措置・企業規模によって変わることがある。 実際の労務・法務判断は、その時点の一次資料を確認のうえ、社会保険労務士または弁護士に相談すること。 紛争が顕在化した案件・裁判所への提出書面・和解契約書に関わる場面では必ず弁護士へ。